stutterの日記

ファンタシースターオンライン2の偏った話、ほか覚え書き

価格が新体験のレイヤリングウェア

新体験がコンセプトのエピソード4では、サモナーや東京など様々な新要素が実装された。しかしどうやらレイヤリングウェアは全員が体験することはできないようだ。

これまでに2回のスクラッチが配信されたが、女性用のレイヤリングウェアは予想どおり高額で取引されている。とくにベースウェアは最も高いものは1000万を超え、ある程度人気のありそうなカラーは数百万の価格帯になっているようだ。従来のコスチュームは数百万の価格で高額の部類と認識されていたので、レイヤリングウェアによってコスチューム市場の相場は急上昇している。

なぜレイヤリングウェアがこれほど高いかというと、アウターウェアを除くベースウェアとインナーウェアはチケットを消費してキャラクターに登録されるようになっているからだ。アクセサリーや髪型などと同様にキャラクター別に購入する必要があり、一度使用されたものは再販できないため市場に出回る数が少ない。アウターウェアは従来のコスチュームの扱いと同じで普通にアイテムパックに入り、もちろん再販もできるため価格も従来とさほど変わらない水準に落ち着いている*1

新体験の価格であるレイヤリングウェアだが、高すぎて買えないという声もあるようだ。新規のプレイヤーはもちろん、一式揃えると軽く1000万を超えるような浪費を2週間おきに続けられるような資産を持つプレイヤーは少ない。ゲーム内で通貨を稼ぐ手段はタイムアタックやデイリークエストなどいくつか用意されてはいるが、期待できる収入はレイヤリングウェアの相場と比べてあまりに少額であり、つまり今のところ「赤字」の状態でレイヤリングウェアを買い漁っているプレイヤーも多数いると思われる。

この収支のバランスが続くといずれ買えなくなるプレイヤーが増え、レイヤリングウェアの相場は下降していくかもしれないが、おそらくそれは緩やかな変化になるだろう。それまで気長に辛抱できるプレイヤーばかりではなく、モチベーションが低下してゲームを辞めてしまうプレイヤーも出てくる。セガとしては、とくにアニメで多額のコストをかけて獲得した新規プレイヤーに辞められてしまうのは避けたいはずだ。ゲーム内の収入とスクラッチアイテムの価格のバランスは早急に是正する必要がある。

PSO2の集金システム構造を考えると、本来はゲーム内通貨の不足を感じたプレイヤーをACスクラッチに誘導したいというのがセガの思惑であるはずだ。しかし現実はそうなっていない。

プレイヤーにブレーキをかける要因として最も大きく影響しているのは、「ハズレ」の存在だ。ACスクラッチの中には換金効率が非常に低いアイテムが多数存在し、スクラッチしてメセタを手に入れようというプレイヤーの期待を打ち砕く。ACスクラッチのラインナップには男性用アイテム各種、キャストのパーツ、過去の再販コスチュームなどハズレとして認識されるアイテムが多数含まれており、当選の期待値を大幅に下げている。レイヤリングウェアはセットで当選するのではなく、一式揃えるにはどんなに幸運だったとしても最低3回のスクラッチが必要になる。単純にアイテム数から確率を考えただけでもお目当てのレイヤリングウェアを入手できる確率が低いことが明らかであり、このように始める前から結果が予期されるような状態は好ましくないと思われる。ラインナップのアイテム数を減らし、抽選確率で調整したほうがプレイヤーはまだ期待感を持てるだろう(是非はともかくとして、実際の確率が分かりにくくなるため)。それはまさにそれはGスクラッチのことを指しているのではないかと思われるかもしれないが、Gスクラッチにも多数のゴミが存在しており、1回500円の対価を期待していたプレイヤーを満足させられるようなものではない。

このあたりPSO2は射幸心のあおり方が未熟であると感じるところで、改善の余地がある。プレイヤーにはもっと気持ちよくカネを使わせるべきなのだ。そもそもACスクラッチは演出も地味で素っ気ない。あまりソーシャルゲームのような雰囲気は出したくないのだと思われるが、こういうところにも地道な工夫は必要だろう。

セガもレイヤリングウェアの高騰を予想していたのか、エピソード4からはスクラッチ回数ボーナスが実装されている。このシステムは特典アイテムや回数のさじ加減で、プレイヤーのスクラッチ回数に影響を及ぼすことができると考えられる。つまり特典につられてスクラッチを購入するプレイヤーが増えれば出品されるアイテムが増え、アイテムの相場は下がる。今回のストリートスタイルスナップは、前回のマエストロサモナーと比べて通常のACスクラッチとスクラッチGともに特典の獲得に必要なスクラッチ回数が増量されている。つまりマエストロサモナーの相場はセガとしても高すぎると判断したのかもしれない。

ACスクラッチはプレイヤーの現金の両替手段として慎重なバランスが求められ、何よりカネの話そのものであるので都合が悪いからと他の部分と同じようには軽率に変更できない*2。レイヤリングウェアは現時点では高過ぎると感じているプレイヤーが多いと思われるが、このまま市場任せで放置されるか運営の介入があるかはまだ分からない。

*1:ちなみにアウターウェアは基本的にカラーチェンジできるようにする方針なのか、マエストロサモナーとストリートスタイルスナップのアウターウェアはいずれもカラーチェンジが可能になっている。これまで使い道のなかったカラーチェンジパスの需要が発生し、交換対象のラッピースーツも高騰している。とはいえACスクラッチアイテム14個と比較するとまだ割安であり、今後さらに上がる余地はあると思われる。

*2:既存の資産を暴落させるようなことができないため、例えば再販は少なくとも半年経過してからなどの配慮が存在する。