stutterの日記

ファンタシースターオンライン2の偏った話、ほか覚え書き

PSO2:NGSのDLSSで見られる視覚的不具合(アーティファクト)

PSO2ニュージェネシスPSO2:NGS)は2022年2月のアップデートでDLSSやFSRといったアップスケーリング技術をサポートするようになった。

DLSSは「ディープ・ラーニング・スーパー・サンプリング」の略で、ディープラーニング技術によって画質を犠牲にすることなくフレームレートを向上できるというのが売り文句になっている。こうしたアップスケーリング技術を使用することで、フレームレートの落ち込みを改善したり、フレームレートを確保するために妥協していた画質の設定を引き上げたりできるようになる。

実際にPSO2:NGSでDLSSを目にしても、アップスケーリングされた画像だとは分からないかもしれない。しかしディープラーニングを用いたアップスケーリングにも技術的な限界があり、細かい粗探しでグラフィックスの不具合を見つけることはできる。

アップスケーリングのプロセスで生じる、望ましくない視覚的な誤差や不具合はアーティファクトと呼ばれる。

ネイティブ4K vs DLSS 4K

どのようなアーティファクトが見られるかはゲームによって異なるため、実際に切り替えて試してみるのが分かりやすい。以下のスクリーンショットはネイティブ4K(DLSSオフ)とDLSSクオリティモードの比較で、グラフィック設定は6のウルトラ相当になっている。

PSO2:NGSで採用されているのはDLSS 2.0で、クオリティ、バランス、パフォーマンスのモードが選択できる

PSO2:NGSで顕著なアーティファクトは床の映り込み表現と発光するオブジェクトだが、このような昼のセントラルシティのシーンではあまり目立たない。ゲーム中にオプションを切り替えるとすぐに違いを見つけられるが、スクリーンショットでは差が分かりにくい。

PSO2:NGSではスクリーンスペースリフレクションで高品質な映り込みが表現されている

床の映り込みと発光するオブジェクトのアーティファクトは、暗い場所で目に付きやすい。このショップ前のシーンでは、床に映り込んだオレンジと黄色の看板の輪郭がぼやけており、左側の看板の反射も薄い。また、グロー効果の光の強度も不正確で、看板の周囲に靄(もや)のように広く拡散している。

DLSSではグロー効果のアーティファクトで全体的に青みがかっている

この階段前のシーンでも青い光が過度に拡散し、階段の周辺やキャラクターが全体的に青みがかったように見えている。

こうした強すぎるグロー効果については不正確であるというだけで、眩しく見えることはあっても表現として違和感を感じやすいものではない。グロー効果のアーティファクトの不自然さはシーンによって異なる。

グロー効果のアーティファクトは異なった視覚的印象を与えることがある

この屋内のシーンでは天井や球体下の赤い光が強調され、反対にキャラクターへの青い環境光の効果は弱くなっているため、本来の状態と少し異なる印象を与える。球体の中のグラフィックやキャラクターのエッジライトも不自然に強調されており、ここでは全体的にDLSSのアーティファクトを多く見ることができる。

水面の映り込みはアーティファクトが目立ちやすい

水面の映り込みは、PSO2:NGSで最も目につきやすいアーティファクトのひとつになっている。このフィールドのシーンでは、さざ波のある水面への映り込みがDLSSでぼやけており、解像度が低くなったように見える。

実際のゲームでは反射のちらつきもかなり目立つ。動的に変化する水面はDLSSによるアップスケーリングで正確に再現するのが難しく、フレーム間の一貫性を保てなくなってしまいちらつきが発生する。

こうしたアーティファクトは全体の一部で、まだ無数の指摘が可能かもしれない。しかし見比べてようやく分かるような誤差があったとしても、DLSSの実用性に変わりはない。PSO2:NGSにおいて、4K解像度と最大画質設定の両立はまだそれほど簡単ではなく、アップスケーリングを使わずにネイティブ4Kで60FPSのフレームレートを維持しようとすると、GeForce RTX 3080かそれ以上の性能が求められる。これは普及価格帯のPCと同じ値段がするグラフィックスカードが必要であることを意味する。

費用対効果に関しては、2024年2月時点で最新のGeForce RTX 40シリーズでむしろ悪化している。エヌビディア(Nvidia)がミッドレンジのチップでコア数を削減し、少ないメモリバスに固執したことで、入手しやすい価格帯のグラフィックスカードの性能は世代間でほとんど向上していない。

RTX 40の製品スタックでミッドレンジに位置するRTX 4060 Tiのパフォーマンスは、前世代のRTX 3060 Tiからわずか10%程度しか向上しておらず、多くのメモリバスを使用する4K解像度ではRTX 3070以下に落ち込む。RTX 4060 Tiのメモリ帯域幅は前世代との比較で3分の2となる288 GB/sに減少している。(ファイナルファンタジーXIV 6.0 暁月のフィナーレのような、多くのメモリバスを使用するゲームのベンチマークの結果でこの節制の影響が浮き彫りになっている。ファイナルファンタジーXIVでは今後のパッチ7.0、黄金のレガシーで予定されているグラフィクスアップデートでさらに要求スペックの水準が上がると見られ、最高のグラフィックス表現を期待されるAAAゲームでなかったとしても、まだ4Kのウルトラ画質はそれほど身近な存在ではない。)

普段はDLSSを使用し、最高品質の映像を求めるときだけ切り替えてもいい。スクリーンショットを撮影する前にDLSSをオフにすることで、アーティファクトを避けることができる。

PHANTASY STAR ONLINE 2』公式サイト
https://pso2.jp/