stutterの日記

ファンタシースターオンライン2の偏った話、ほか覚え書き

2017年に正念場を迎えるPSO2——失地回復の公算はあるか

2016年のPSO2は、アニメやPS4版のリリースといった大きなイベントがあり、大きな盛り上がりを見せた年であった。しかし裏を返すと2017年はそれらなしでやっていかなければならない。

盛況と同時に訪れた難しさ

2016年を振り返ると、最も重要なイベントはTVアニメとPS4の2つだった。これらに合わせて配信された大和の配信では公式発表でも最大同時接続者数を更新したということであり、ユーザーの感覚としてもサービス開始以来の勢いであったと思われる。

しかし電撃オンラインのインタビューでも触れられているとおりユーザー層が大きく変わることでコンテンツ供給や需要に応えるという意味では困難に直面していたようだ。東京やサモナーの実装など開発側としては一定の策を講じてはいたが、プレイスキルの格差が生んだ問題の対処 (エキスパートブロックの実装) は完全に後手に回った。

このあたりはいつものようにモニタリングを重視しすぎたことの弊害に思われ、仮説を前提とした判断などもっとスピードを優先してもよかっただろう。ユーザーは問題の改善を気長に待てないからだ。娯楽であるユーザーと、仕事である開発側では時間の感覚が違う。設計から実装まで時間がかかるのは仕方ないのでストレスのたまる状況を半年耐えようという物わかりのいいユーザーは存在しない。

ゴールを見失った新規ユーザーたち

2017年に残された課題は (予想どおりではあるが) 一時的に増えたユーザーが維持できなかったということだ。先のインタビューでは100時間程度遊んで離脱するユーザーが多いと述べられている。これは一般的なゲームタイトルとしてはとくに違和感がないが、オンラインゲームとしては短い。1日1時間程度のプレイ時間だったとしても、3〜4ヶ月程度で到達してしまう。

酒井氏は離脱の原因をキャラクターのレベルアップが早かったこと、コレクトファイルにより★13が入手しやすくなったことを挙げている。木村氏はコミュニケーション施策が弱かったことを反省しているようだ。

いずれにしても100時間という離脱時間の水準は、ユーザーの体験がオンラインゲームではなく通常のパッケージゲームに近かったことを意味する。両氏の分析は間違ってはいないが時期としては遅すぎ、わかりきっていたことをあらためて述べているに過ぎない。

レベルキャップに到達して一定の装備を持つと目的がなくなることも、ユーザーをよくも悪くも束縛するコミュニケーションを切り捨てた設計も、今に始まったことではなく4年前から存在していたものだ。「ライトな」ユーザーを取り込むために導線を簡略化し面倒な要素は排除したが、結果として離脱しやすいゲームにもなってしまったともいえる。

2017年のPSO2

今さらPSO2を別のゲームに作り替えることはできない。問題がわかっていたとしても、制約の中で折り合いを付けて対処していくしかない。いずれにしても、拡大のために先送りにしてきた部分に対してツケを払うときが来た。PSO2が10年目を迎えるにはここで清算する必要があるだろう。