7月1日、ゲームの内部的な情報を解析・取得する外部ツールの使用は利用規約違反であり、使用が確認された場合は該当アカウントを停止をするという警告が発表された。
具体的な外部ツールがなんであるかここでは書かれていないが、ダメージ計測ツールであるACT (Advanced Combat Tracker) とOverParseを指しているとして当事者の間では受け止められているようだ。
通貨やアイテムの複製、加速、パラメータ操作など不正行為を働くためのツールであれば、それらの使用は明らかに不正であり、ban対象となるのはわかりやすい。一方で公然と使用されながら何のお咎めもないJoyToKeyのようなツールも存在する*1。
本来であれば、各プレイヤーのダメージを計測するだけのツールも感覚的には後者に分類されると考えるプレイヤーも少なくないと思われるが、今回あらためて「内部系な情報や通知を解析・取得する外部ツール」として禁止されたことには理由がある。
寄生問題を公にしたくないセガ
PSO2のクエストは12人のプレイヤー (多くはソロプレイヤー) がランダムマッチングされることを前提に設計されている。ロールはなく、攻略の方法はとにかく殴るか慣れれば分かる程度に抑えられ、意思の疎通も期待されていないためコミュニケーションも必要とされない。これがどういう結果を生むかというと、たいした働きをしないプレイヤーが少人数いたとしても問題なくクエストは進行し、クリアできるということになる。
これはセガとしてはゲームの間口を広げるための意図的な設計であり、不運なマッチングの結果クエストが失敗したり苦戦したりすることも織り込み済みであると考えられる。むしろゲームにランダム性を生む要素として歓迎さえしているだろう*2。
もちろん固定メンバーで効率よく攻略すると簡単になりすぎるので、それを制限するためにクエストのクリア回数制限も設けられている。装備に必要以上の投資をしたとしても見返りはステータスのみで、効率の上昇は一定に留まる。
可視化は対立を生む
レイドの中に貢献度の低いプレイヤーが混じっていると、不公平であると感じるプレイヤーもいる。棒立ちは論外としても、ろくに強化されていない武器やユニット、あるいは低レベルのサブクラスで火力が出ていない、誤ったスキル振り、立ち回りが非効率など様々な理由でDPSに差が出ることは避けられない。
DPSが計測され、可視化されると当然そこには対立が生まれる。効率を追求する者、カネがあれば新しい服を買ってしまう者、何も考えていない初心者を同じ箱に放り込めば、行動も意見も価値観も一致しないだろう。
セガが守りたい金の卵
いま最もセガが死守したいと考えているのは、アニメとPS4で呼び込んだプレイヤーをPSO2に留めることだ。多額の予算をつぎ込んで獲得したプレイヤーを失うわけにはいかない。この先アニメやPS4に匹敵する集客効果が期待できる手段は残されているとは考えにくいので、なおさらだろう。
結局PSO2はEP4になっても代わり映えのしないクエスト配信の繰り返しになっているため、飽きられるのは時間の問題ではある (ギャザリングのずさんな実装など、数少ない新要素を使いつぶすのも相変わらずだ)。しかしDPSを根拠に他のプレイヤーを晒すような輩はセガにとって目下の問題であり、火種が大きくなる前に踏みつぶしたいのは当然だと思われる。