stutterの日記

ファンタシースターオンライン2の偏った話、ほか覚え書き

PSO2:NGSのDLSSで見られる視覚的不具合(アーティファクト)

PSO2ニュージェネシスPSO2:NGS)は2022年2月のアップデートでDLSSやFSRといったアップスケーリング技術をサポートするようになった。

DLSSは「ディープ・ラーニング・スーパー・サンプリング」の略で、ディープラーニング技術によって画質を犠牲にすることなくフレームレートを向上できるというのが売り文句になっている。こうしたアップスケーリング技術を使用することで、フレームレートの落ち込みを改善したり、フレームレートを確保するために妥協していた画質の設定を引き上げたりできるようになる。

実際にPSO2:NGSでDLSSを目にしても、アップスケーリングされた画像だとは分からないかもしれない。しかしディープラーニングを用いたアップスケーリングにも技術的な限界があり、細かい粗探しでグラフィックスの不具合を見つけることはできる。

アップスケーリングのプロセスで生じる、望ましくない視覚的な誤差や不具合はアーティファクトと呼ばれる。

ネイティブ4K vs DLSS 4K

どのようなアーティファクトが見られるかはゲームによって異なるため、実際に切り替えて試してみるのが分かりやすい。以下のスクリーンショットはネイティブ4K(DLSSオフ)とDLSSクオリティモードの比較で、グラフィック設定は6のウルトラ相当になっている。

PSO2:NGSで採用されているのはDLSS 2.0で、クオリティ、バランス、パフォーマンスのモードが選択できる

PSO2:NGSで顕著なアーティファクトは床の映り込み表現と発光するオブジェクトだが、このような昼のセントラルシティのシーンではあまり目立たない。ゲーム中にオプションを切り替えるとすぐに違いを見つけられるが、スクリーンショットでは差が分かりにくい。

PSO2:NGSではスクリーンスペースリフレクションで高品質な映り込みが表現されている

床の映り込みと発光するオブジェクトのアーティファクトは、暗い場所で目に付きやすい。このショップ前のシーンでは、床に映り込んだオレンジと黄色の看板の輪郭がぼやけており、左側の看板の反射も薄い。また、グロー効果の光の強度も不正確で、看板の周囲に靄(もや)のように広く拡散している。

DLSSではグロー効果のアーティファクトで全体的に青みがかっている

この階段前のシーンでも青い光が過度に拡散し、階段の周辺やキャラクターが全体的に青みがかったように見えている。

こうした強すぎるグロー効果については不正確であるというだけで、眩しく見えることはあっても表現として違和感を感じやすいものではない。グロー効果のアーティファクトの不自然さはシーンによって異なる。

グロー効果のアーティファクトは異なった視覚的印象を与えることがある

この屋内のシーンでは天井や球体下の赤い光が強調され、反対にキャラクターへの青い環境光の効果は弱くなっているため、本来の状態と少し異なる印象を与える。球体の中のグラフィックやキャラクターのエッジライトも不自然に強調されており、ここでは全体的にDLSSのアーティファクトを多く見ることができる。

水面の映り込みはアーティファクトが目立ちやすい

水面の映り込みは、PSO2:NGSで最も目につきやすいアーティファクトのひとつになっている。このフィールドのシーンでは、さざ波のある水面への映り込みがDLSSでぼやけており、解像度が低くなったように見える。

実際のゲームでは反射のちらつきもかなり目立つ。動的に変化する水面はDLSSによるアップスケーリングで正確に再現するのが難しく、フレーム間の一貫性を保てなくなってしまいちらつきが発生する。

こうしたアーティファクトは全体の一部で、まだ無数の指摘が可能かもしれない。しかし見比べてようやく分かるような誤差があったとしても、DLSSの実用性に変わりはない。PSO2:NGSにおいて、4K解像度と最大画質設定の両立はまだそれほど簡単ではなく、アップスケーリングを使わずにネイティブ4Kで60FPSのフレームレートを維持しようとすると、GeForce RTX 3080かそれ以上の性能が求められる。これは普及価格帯のPCと同じ値段がするグラフィックスカードが必要であることを意味する。

費用対効果に関しては、2024年2月時点で最新のGeForce RTX 40シリーズでむしろ悪化している。エヌビディア(Nvidia)がミッドレンジのチップでコア数を削減し、少ないメモリバスに固執したことで、入手しやすい価格帯のグラフィックスカードの性能は世代間でほとんど向上していない。

RTX 40の製品スタックでミッドレンジに位置するRTX 4060 Tiのパフォーマンスは、前世代のRTX 3060 Tiからわずか10%程度しか向上しておらず、多くのメモリバスを使用する4K解像度ではRTX 3070以下に落ち込む。RTX 4060 Tiのメモリ帯域幅は前世代との比較で3分の2となる288 GB/sに減少している。(ファイナルファンタジーXIV 6.0 暁月のフィナーレのような、多くのメモリバスを使用するゲームのベンチマークの結果でこの節制の影響が浮き彫りになっている。ファイナルファンタジーXIVでは今後のパッチ7.0、黄金のレガシーで予定されているグラフィクスアップデートでさらに要求スペックの水準が上がると見られ、最高のグラフィックス表現を期待されるAAAゲームでなかったとしても、まだ4Kのウルトラ画質はそれほど身近な存在ではない。)

普段はDLSSを使用し、最高品質の映像を求めるときだけ切り替えてもいい。スクリーンショットを撮影する前にDLSSをオフにすることで、アーティファクトを避けることができる。

PHANTASY STAR ONLINE 2』公式サイト
https://pso2.jp/

〈更新〉PSO2:NGSにスケーリングの設定が影響する問題の回避方法(高DPIスケール設定の上書き)

更新: 2022年6月以降のPSO2:NGSでは、高DPIスケール設定の上書きを変更する必要はなくなった。

PSO2:NGSを仮想フルスクリーンで実行する場合、Windowsのディスプレイの設定にあるスケーリングの影響を受ける。「テキスト、アプリ、その他の項目のサイズを変更する」はディスプレイのサイズと解像度で推奨値が決まるが、これが100%以外に設定されているとPSO2:NGSの解像度もスケーリングされてしまう。

本来の解像度でゲームをプレイしたい場合、単純にスケーリングの設定を100%に戻せるならそれでいいが、4K解像度のディスプレイでスケーリングを100%にすると文字が小さすぎることもある。Windowsの設定で100%以外のスケーリングを使いながらNGSだけをディスプレイの解像度のままプレイしたければ、アプリケーションのプロパティでDPIの設定を変更すればよい。

  1. PSO2:NGSのアイコンを右クリックするなどして、実行ファイルのプロパティを開く。
  2. 互換性タブにある高DPI設定の変更をクリック。
  3. 高DPIスケール設定の上書きをチェックオンし、拡大縮小の実行先をアプリケーションにする。

これは問題の修正のために用意されている機能であり、副作用がないわけではない。ワンタイムパスワードの入力画面でレイアウトが崩れるなど軽微な問題はある。とはいえゲームプレイにおける問題はないため大きな支障はないだろう。

更新: 2022年6月8日のアップデートでPC版が高DPIに対応し、高DPIスケール設定の上書きは必要なくなった。スケーリングする従来の動作に戻したい場合、高DPIスケール設定を上書きするときの拡大縮小の実行元をシステムにすればよい。

AVセットアップの更新: KEF LS50 Meta + KEF KC62 + Yamaha RX-A2A

2021年にAVセットアップを更新し、ささやかな2.1chのホームシアターを構成したので、その設定などを記録しておく。

背景

従来のセットアップはBose 301Vと、Sony STR-DN1040だった。301Vはエンクロージャーのサイズの割に大きなウーファーを備えており、ゲームと相性がよかった。

長年使っていた301Vの音は気に入っていたが、どこかの時点で更新が必要になると考えていた。301Vは低品質な音源でもうまく(ボーズの音として)鳴らすようなスピーカーだったが、近代的な高音質のゲームサウンドを忠実に再生する能力には欠けていた。

MacのスピーカーをクリプトンKS-11に更新したことも影響している。KS-11はBose M2 (Computer MusicMonitor) と比較すると明らかに透き通った音で、ボーズのスピーカーが中高域に低域が重なっているように聴こえる傾向に気づいてしまった。ボースの音は悪くないが、明瞭さに欠ける。

最終的に、セットアップを更新する後押しになったのは、最近になって始めたFF14の楽曲が気に入ったのと、リリースを控えていたPSO2NGSに備えるためだった。

選定の比重はゲームと映画が50%、オーディオが50%だが、実際の使用時間はゲームが大半である。

構成

  • KEF LS50 Meta (フロントスピーカー)
  • KEF KC62 (サブウーファー)
  • Yamaha RX-A2A (AVレシーバー)

従来のセットアップはフロントスピーカーのみの2ch構成で、今回のリニューアルでも当初は2ch構成を踏襲するつもりだった。しかしLS50 MetaとRX-A2Aを購入してから映画を視聴する機会が増え、サブウーファーがあれば小型のブックシェルフスピーカーでは出せない低域の出力を伸ばせると思うようになったため、KC62を追加して2.1chにアップグレードした。

さらにスピーカーのチャンネル数を増やすかどうかも検討したが、最終的に見送った。AVRを2chで使用するユーザーはかなり少数派のため、フロントスピーカーとサブウーファーにこれだけ偏重したセットアップは珍しいかもしれない。しかしフロントスピーカーにLS50 Metaを使ってしまうと、半端なリアスピーカーの増設は考えにくくなった。シネマDSPでも十分に音場の広がりが感じられており、妥協したサラウンド環境を構築してもコストの割に体験の質が期待ほどには変わらないリスクも想定された。

KEF LS50 Meta

KEFはUni-Qと呼ばれる同軸ドライバーの技術を、数百万するハイエンドスピーカーから数万円のローエンドまで一貫して展開している(同一のユニットを搭載している訳ではない)。Uni-Qの歴史は長く、LS50 Metaには12世代のUni-Qが搭載されている。音は明瞭で聴き疲れしにくく、深い低音が出る。

KEF KC62

KC62はサブウーファーとしてはかなり小さい。およそ25cmの立方体で、これだけコンパクトなサブウーファーは候補を探すのすら難しく、KC62と競合できる製品はなかった。サッカーボールほどの大きさしかないが、重量は14kgもあって非常に重い。値段も高い。もちろん、巨大なサブウーファーを設置するスペースを用意できる場合は、同じ値段でもっと大きな音が出る製品を購入できる。

Yamaha RX-A2A

以前のSTR-DN1040にはHD-D.C.S.という映画館の音響を再現する機能があり、非常に気に入っていたため、同様の機能を今回も要件としていた。しかしこのような機能はヤマハのシネマDSPくらいしか見当たらず、そのためヤマハ以外はほとんど検討していない。ソニーもローエンドモデルを残してAVR市場から撤退しており、候補にはならなかった。ヤマハを選ぶのであればSurround:AIに対応するRX-A4Aを導入したかったが、設置場所のスペースに収まらないためRX-A2Aで妥協した。

RX-A2Aには4K/120Hz信号が出力できない不具合があり交換対応がアナウンスされているが、交換せずに使用している。現在使用しているテレビが4K/120Hzに対応していないため実害がないのと、AVレシーバーは新しい規格に対応するため短い間隔で買い換えるということもあり、そのまま使用して問題ないと判断した。

YPAOによるキャリブレーション

アクティブサブウーファーの本体にはボリューム設定があり、AVRでキャリブレーションするだけのパッシブスピーカーのみの構成と比較して調整箇所が増えることになる。サブウーファーのボリュームが大きすぎるとキャリブレーションシステムの限界を超えてしまい、逆に小さすぎると音が出なくなるため、実際にはこの間のどこかに設定しなければならない。

KC62のマニュアルによると、レシーバーと接続する場合はLFEモードを使用し、ボリュームは中間から最適な点を探していくよう指示されている。RX-A2Aのマニュアルでも、サブウーファーの音量は半分に調節するように求められていた。クロスオーバー周波数は最大にするように書かれているが、今回の接続ではKC62をLFEモードで使用するため影響しない。

実際にYPAOで計測してみると、KC62のボリュームは12時では大きすぎるようだった。測定後のサブウーファーのレベル補正が上限の-10.0dbで提案され、エラーにはならないもののフロントスピーカーは全体のバランスを取るためにプラスに大きく補正されていた。11時や10時でも同様だった。

KC62のボリュームレンジとYPAOの補正値
  • 5 (Max): 未計測
  • 4: 未計測
  • 3: 未計測
  • 2: 未計測
  • 1: 未計測
  • 12: -10.0 db
  • 11: -10.0 db
  • 10: -6.0 db
  • 9: -2.5 db
  • 8: 検出されず
  • 7 (Min): 未計測

KC62のボリュームを9時まで下げると、測定後のサブウーファーのレベル補正は-6.0dbになった。

YPAOの結果から、この環境におけるKC62の適切なボリュームは9時のあたりと分かった。

KC62のボリューム

オーディオの一般的な話ではあるが、サブウーファーのボリュームは複数の場所で設定できるため、調整を複雑にしている。まずKC62本体のボリュームノブがあり、YPAOの計測結果で調整されるレベル補正がRX-A2Aのスピーカー設定にある。さらにオプションメニューにユーザーの好みで調節するサブウーファーのレベル補正が存在し、今回は使用していないがトーンコントロールも用意されている。

今回、YPAOの補正ではサブウーファーが-6.0dBに設定されたが、このままではマスターボリューム(再生音量)をかなり大きくしないとサブウーファーがオンにならない。一般論としては、クリッピングを回避するためにAVRのレベル補正を低く保ち、サブウーファーのゲインを高くしたほうがよい。しかしどうやらヤマハオンキヨーのAVRは、サブウーファー出力の電圧が低いらしく、レベル補正をマイナスにしたままだとサブウーファーが意図せずスタンバイになってしまう問題が起きやすい。

今回のセットアップではサブウーファーのボリュームノブはそのままに、AVRのレベル補正を0dbに戻した。これでキャリブレーションされた状態から、サブウーファーの音量は+6.0dBされたことになるが、映画やゲームではこのくらい低音をブーストするのがちょうどよかった。音楽ではRX-A2Aのオプションメニューのサブウーファーボリュームトリム(再生レベル補正)で-6.0dBしてフラットにしている。

調整後は実際にゲームをしたり音楽を聴いたりして試す。RX-A2Aのスピーカー設定のメニューにはテストトーンの項目があるが、ボリューム調整に関しては役に立たない。サブウーファーに対しては非常に小さい音しか出力されず、耳を近づけなければ再生されているのかすら分からないからだ。海外のフォーラムの情報によると、どうやらこれはヤマハのAVRでは以前の機種から存在する問題らしい。

RX-A2Aの設定

Speaker Setting (スピーカー設定)

フロントスピーカーを “Small” (小) にし、クロスオーバー周波数は80Hzとした。この設定では80Hz以下の低音域はサブウーファーから出力される。マニュアルでは、一般的なガイドラインとしてウーファーが16cm (6.1/4”) より小さいスピーカーが “Small” とされており、この基準に従うと13cmウーファーのLS50 Metaも “Small” に含まれる。

クロスオーバーの設定については、THX規格の80Hzという基準を参照したり、あるいはスピーカーの周波数応答から求める方法がある。KEF USのサイトではLS50 Metaの周波数応答(±3dB)が79Hz - 28kHzと書かれており、80Hzは良い妥協点と思われる。

今回のセットアップでは、LS50 Metaの低域の負担を軽減するため、クロスオーバーは100Hzに設定した。

Adaptive DRC(ダイナミックレンジコンプレッションの自動調節)

通常の音量ではオフ、夜間に音量を絞る場合にはオンにしている。マニュアルの説明では音量に連動してダイナミックレンジを自動調節する機能であり、オンにすると夜間に小音量でも聴きやすくなるとされている。ただし小音量の基準に関しては何も示されていない。

DRCは効果が分かりやすいため、有効にするかどうかは実際に試して決めればよい。映画の台詞が聞き取りやすくなり、ゲームであれば小さな環境音も聞こえやすくなる。これが本来の音ではないと感じるか、”adaptive” な音と感じるかは考え方に左右される。隣人の苦情を受けずに80デシベル(長時間さらされると難聴になるといわれている)を上回るような音量で再生できるオーディオマニアには必要ないかもしれない。

DRCを使うべきかどうかは、複数の異なった状況で確認すると判断しやすい。DRCをオンにすると、ダイナミックレンジの圧縮により音の空間を感じにくくなる。DRCの副作用を実感できない場合はそもそも音量が小さすぎるので、そのときはDRCをオンにしたほうが相対的にマシに聞こえると思われる。

Cinema DSP(シネマDSP

RX-A2AはSurround:AIに対応しないため、サウンドプログラムをゲームタイトルや曲によって変えている。ゲームの場合だと、PSO2NGSやFF14といったBGMが常に再生されるタイトルでは “Roleplaying Game”、そうでなければ “Action Game” を使う。

Compressed Music Enhancer(ミュージックエンハンサー)

オフにしている。英語のユーザーガイドでは”Compressed Music Enhancer”と表記されている機能で、名前からして圧縮音源向けである。ロスレスが主流となった現在では役目を失ったように思われ、実際の効果も不自然に感じた。

Extra Bass(エクストラベース)

フロントスピーカーを “Small” (小) にして、サブウーファーを使用する場合、Extra Bassはオフにしたほうがよい。海外のフォーラムに投稿されたRX-V383の計測によると、Extra Bassは20-40Hzの範囲にある低音を減少させてしまう。

おそらくExtra Bassはサブウーファーで十分な低音が出せる環境をターゲットにしておらず、想定もしていない。RX-A2Aのマニュアルでは、Extra Bassを「フロントスピーカーの大きさやサブウーファーの有無に関わらず、余裕のある低音を楽しめます」と説明しているが、ヤマハの以前の機種向けのサイトでは「元の音に含まれる倍音成分を利用して、小型スピーカーやサブウーファーなしのシステムでも低音の力感や躍動感をリアルに再現する」と紹介している。状況からすると「サブウーファーの有無に関わらず」の部分は正確さを欠いている可能性が高い。

サブウーファーがある場合、結果の予測が難しいExtra Bassを使う必要はなく、単にサブウーファーの音量を上げればよい。トーンコントロールやサブウーファーのボリュームトリム(再生レベル補正)であれば、MusicCastアプリから簡単に変更できる。

結論

全体的に、今回のセットアップは期待通りの結果が得られており、選択には満足している。どの製品も2020年後半から2020年にかけての発売であり、検討のタイミングとしても最適だった。

今回導入したKEFのスピーカーは、いずれも優れたパフォーマンスとコンパクトなサイズを両立している。それと引き換えにプレミアムな価格設定になっているが、予算の上積みでこのような選定が可能となっている状況は消費者として悪いことではない。

サブウーファーについては、音楽再生に限れば必須だとは思わない。LS50 Metaは十分に深い低音が出ているため、よほど低音が多く含まれる楽曲を除けば投資対効果は感じにくいだろう。たしかに違いはあるが、それが音楽体験の向上に大きく寄与するかどうかは個人の考え方による。

ゲームや映画では低音が不足すると物足りなさにつながるため、設置環境が許すのであればサブウーファーはあったほうがいい。今回の導入で、小型のブックシェルフとサブウーファーの組み合わせは理にかなっていると確信できた。

RX-A2AはMusicCastアプリによるスマートデバイスからの操作が非常に便利で、ファームウェアのアップデートでXbox One Xを使用する際の安定性も改善した。シネマDSPも効果的だったが、Surround:AIが搭載されていれば言うことはなかった。ユーザーから見るとヤマハのシネマDSPは競合との差別化に役立っており、Surround:AIが巨大な上位機種にしか対応していない状況には疑問がある。将来的に、RX-A2AのサイズでSurround:AIに対応するモデルが出てくれば買い換えたい。

最後の補足として、今回の情報収集は日本語の情報だけでなく、海外のレビューやフォーラムを多く参考にした。スピーカーの10万円台のセグメントは一般的な感覚からすると「高すぎる」に分類される価格帯で、レビューや実際のユーザーの情報が少ない。とくに国内ではほとんど情報のないKC62のレビューは、英語であれば参考になる複数のレビューが見つけられた。

英語の情報でも、Google翻訳やDeepLなど優れた翻訳ツールを使うことでアクセスがかなり容易になっている。このような情報収集に用いる場合、DeepLを使うなら有償版を使ったほうがストレスが少ない。海外のレビューは詳細でかなり文字数が多く、DeepLの無償版の制限である5000文字を超えることが多かった。

MINILA-R ConvertibleとMINILA Airの比較

Minila-R Convertibleについて、公開されている情報を元に日本語配列を前提としていくつか重要な論点を検討した。スペックで単純に判断できる情報は割愛している。詳細なレビューがPC Watchの記事にあり、そちらも参考になるだろう。

Minila-RはMinila Airと何が同じか?

カニカルキースイッチ、ワイヤレス、コンパクトの条件を満たす数少ないキーボードのひとつ。このカテゴリーはそもそも数が少なく、しかもそのほとんどはFILCOのラインナップである。

サイズはまったく同一の幅297、奥行124、高さ40mmで、重さも680gから変わっていない。設置場所や持ち運びに関する向上はないが、その逆に操作性や打鍵感を犠牲にするような切り詰めや軽量化はされていないとも言える。Minilaシリーズがコンパクトな割に重いのは、頑丈な筐体や鉄板の補強で剛性が確保されているからだ。

Minila-RはMinila Airから何が変わったか?

キー配列であると考えていい。Minila-RはMinila Airの後継ではあるがキー配列はまったく別物で、DIPスイッチを使ったとしても同じ配列が再現できるとは思わないほうがいい。Minila Airはコンパクトキーボードの割に癖の少ないキー配列だったが、Minila-Rはかなり慣れを必要とする。

EscキーがFnキーのコンビネーションになった影響は?

Escキーの使いやすさを重要視するなら要注意である。Minila-RのEscキーは、DIPスイッチを使ったとしてもキーボード左上のキー単体に設定する方法はない。デフォルトは半角/全角キーで、Fnキーと同時押しでEscとなる。Minila Airでは通常がEscキー、Fnキーと同時押しすると半角/全角キーとして機能していた。

Minia-RのEscキーはCapslockと置き換えることもできるが、このような配置が選べるキーボードはほとんどないに等しく、これに慣れるのはリスクさえある。Escキーはほとんど何も考えずに押されることが多いと思われ、同時押しが必要になるとかなりストレスになると予想される。同時押しの問題ではないが、Macbook ProでTouch Barに統合されたEscキーは不評を買い、物理キーとして復活したようなケースもあった。いずれにしても敬遠される大きな理由になるだろう。

カーソルキーがFnキーのコンビネーションになった影響は?

Minila-Rでは右Shiftが大きくなり右Ctrlが追加されたが、シャーシのサイズは拡張されていないため必然的にカーソルキー周りがしわ寄せを受けた。これらのキーはカーソルキーと比べて重要とは思えないが、結果としてMinila-Rの使い勝手を考える上で面倒な事態を引き起こしている。

カーソルキーを多用する場合はおそらくDIPスイッチの変更が前提となる。カーソルキーはデフォルトではFnとのコンビネーションだが、これはカーソルキーと同時押しするようなショートカットを多用するアプリケーションでは複雑さが増し、操作に苦しむだろう。

DIPスイッチを変更して独立したカーソルキーを設定した場合、その引き換えにいくつかのキーが失われる。左側のキーを使ったりFnキー同時押しで代用することになるが、ここでも慣れが必要になることは否めず、Minila Airと比較したときに問題視されるのは避けられない。

なぜコンビネーションではないカーソルキーがオプションとなっているのか想像するのは難しい。もしかするとHHKB HYBRIDのUS配列の前例を参照してしまったのかもしれないが、Minila-RはFnキーの場所が異なるため条件は同じではない。

DIPスイッチで右下のキーをカーソルに入れ替えた場合、失われた変換キー(KANA)の代用はあるか?

DIPスイッチでスタンダードモードを有効にすると、左FNを無変換、右Fnを変換に置き換えできる。もとの無変換キーはFnキーとなる。右のFnは消滅するため、ここでもやはりMinila Airと同じ配列にできるわけではない。

Minila-Rは買いか?

カニカルキースイッチ、ワイヤレス、コンパクトを条件にすると、Minila-Rを候補から外すのは難しいため、検討せざるを得ないだろう。

しかし予算に余裕があれば、変態配列としての伝統が長いHHKB HYBRIDも候補になり、相対的にMinila-Rは不利になるかもしれない。リニューアルでキー配列が変更されてしまうMinilaでは、このあまりに独特な配列に慣れたとしても、それがいつまで使えるか読めないからだ。

Windows環境での英語配列Happy Hacking Keyboard、Macほどには馴染まず

慣れといえばそうだが、Macと使い勝手が異なる部分のいくつかは説明可能だった。Windows英語配列Happy Hacking Keyboard Professional2(以下HHKB)を使う機会があったので、感想を書いておく。

最も大きな問題はControlキーだろう、WindowsでCtrlにあたるこのキーはショートカットに多用するため修飾キーの中でも重要性が高い。MacではControlをいわゆるemcsキーバインドとして主にカーソル移動や文章編集に利用するだけで、OSやアプリケーションのショートカットキーとしてはそれほど多く割り当てされていない。Macの一般的なショートカットキーはCommandキーであり、一部でControlも使うといった状況になっている。

HHKBの特殊ロゴキーは、WindowsではWindowsキーとして、MacではCommandキーにアサインされる。アプリケーションのショートカットキーは104英語キーボード配列を前提として設計されるため、Aの左ではなくZの下にあったほうが押しやすい。このためHHKBをMacで使う場合、一般的なキーボードからの移行がしやすく、必要があるときは思考に負担をかけることなく戻りやすい。

HHKBの問題というよりひいては配列の問題ではあるが、標準的なキーボードと比較するとMacではControlキーがAの左に移動することで文章編集がしやすくなるくらいの影響しかない。ところがWindowsではショートカットキーの操作を大きく覚え直すことになる。emacsキーバインドは種類が少ないわりに生産性への恩恵は大きく、結果としてこの配列はMac環境で有利に働く。*1

次はDeleteキーの問題で、MacではDeleteと呼ばれる実質Backspaceキーしか存在しないが、Windowsでは二つのキーが厳密に区別される。そのためHHKBでコンビネーションを用いずに使用できるのはDeleteかBackspaceのどちらかになり、元からDeleteしか存在しないMacで問題にならない配列がWindowsでは操作の煩雑性を生む。

さらに広範なところでは、Windowsではファンクションキーが生産性に大きく関わるというものがある。ファイル名の変更でも、Excelでセルの内容を確認するときにも使う。Macではファイルを選択しながらReturnキーを押すと名前変更になるが、これがWindowsではF2キーのため、HHKBを使う場合コンビネーションが必要になる。

Windowsではファンクションキーがあったほうが使いやすい。Windowsの利点としてExcelの生産性というのが間違いなくあるが、OfficeアプリケーションとHHKBとの相性は残念ながら非常に悪い。

アプリケーションを含めたショートカットキーのデザインの問題ではあるが、今回試した結果ではHHKBの優れたキーフィーリングよりも操作面のストレスが大きいという印象だった。今後、HHKBをWindowsで試すことはないだろうというのが個人的な結論だ。これはHHKBの問題でもWindowsの問題でもなく、たんに個人的な用途を含めて相性がよくない側面があるというだけの話だ。WindowsでHHKBをMacのように使いたい場合、どのようなカスタマイズができるか十分に検討するのが望ましいだろう。

*1:日本語配列のHHKBではAの左をCapslockと入れ替えできるが、同時に押しやすい位置にあるControlキーという利点も手放すことになる。

SGスクラッチアイテム当選確率表 (アークスバトルウェアセレクト)

  • 最重要のカテゴリーで特定のアイテムが排出される確率は0.772%で、多少の誤差を無視するとこの値はSGスクラッチ導入時から固定されている
  • ロビーアクションとルームグッズはそれと比較するとやや高い1.158%に設定されているが、狙って当選させることが難しいことに変わりはない
  • 各種ブーストアイテムは突出して高い確率に設定されていたが、1.930%と抑えられた値になった

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Kindleのメモとハイライトがウェブで表示されない場合

Amazonはあまりアピールしていないように思うが、Kindleでハイライトした部分は(端末やアプリだけではなく)ウェブでも確認できる。ハイライトした部分を一覧的に確認できるため非常に有用だ。

https://read.amazon.co.jp/notebook

ところが、Amazon.comのアカウントを結合しているとここに一冊も表示されないことがある。自分の場合がそうだった。そういうときはamazon.comに行けば表示される。

https://read.amazon.com/notebook